グアテマラ

願いが必ず叶う!?イツァパ村に祀られる土着神サンシモンと謎の儀式!!

アンティグア周辺にはいくつかの火山があり、トレッキングをすることが可能だ。

旅行会社のツアーに参加しても料金はUS$10〜とお値打ちなため、参加を検討していた。

なんと言っても真っ赤なマグマをこの目で、間近で見てみたい。

しかし、よくよく調べてみるとマグマを見ることができるのは火山が噴火した後の限られた期間内のみであり、

そのタイミングは今ではなかった。

迷った挙句、私としのぶさんは『もう1度どこかの村へ行こう』という結論に至った。

 

さっそく村についてリサーチする。

リサーチの結果、アンティグアから訪問可能な村はサンタ・マリア・デ・ヘススの他に、

  • Patzicra
  • Patzun

という村であることがわかった。

この2つの村はあまり観光客が訪れることはない、俗に言うマニアックな村のようだった。

おそらく観光地化されておらず見所も少ないのだろう。

それが、また魅力的なのだが。

 

どの村にすべきかと食堂に貼ってあるグアテマラの村紹介を見ていた時、ある文字が私の目に飛び込んできた。

 

『土着信仰の教会』

 

この地域特有の宗教があるなんて興味深い。

サンシモンという神様も祀られているらしい。

当初の選択肢にはなかったが、私たちは土着信仰の教会があるというイツァパ村へ向かうことにした。

サン・アンドレス・イツァパ村への旅

翌日、メルカドに隣接されたバスターミナルからチキンバスに乗車しイツァパ村へと向かう。

イツァパ村の正式名称はサン・アンドレス・イツァパ村だ。

極彩色で彩られたチキンバス。

私にとって初めての乗車体験だった。

チキンバスが嬉しくて幼い少年のようにはしゃぐ私。

チキンバスという名称は正式名称ではないようだ。チキンを持って乗車する人が多いのでチキンバスと呼ばれているとか。

真相はよくわからない。

かつてはアメリカのスクールバスであり子供たちを乗せて走るのが仕事だったようだが、現在ではその役目を終えグアテマラでグアテマラ市民を乗せて走っている。

 

バスは40分程走り続け、そしてイツァパ村に到着した。

ここは村の中心部のようだ。

村の様子を確認するために少し歩いてみる。

写真では非常に分かりづらいが遠くにカラフルな家が建ち並んでいてとても可愛い。

 

目的のサンシモンが祀られている教会はどこにあるのか?

村人に尋ねると『ここから少し離れた場所にあるのでトゥクトゥクを利用した方がよい』と言われた。

トゥクトゥクを捕まえ、ドライバーにサンシモンの教会を知っているか?と尋ねてみる。

『知っている』との回答がきた。

やはり地元でも有名なのだろうか。

しのぶさんがドライバーと交渉してくれ、6GTQ(約90円)で交渉成立した。

 

サンシモンの教会は村の中心部からトゥクトゥクで5分程走った場所に存在した。

大通りから細道に入り、少し進んだところに教会へと続くゲートがある。

 

ゲートをくぐり敷地内に足を踏み入れると、そこは異様な雰囲気に包まれていた。

 

“何かがおかしい”

本能的に察知する。

 

恐る恐る近づいてみると教会の前には信者達が集合し、一生懸命葉巻を吸っていた。

その異様な光景に圧倒される。

そして、あちこちで何かが燃えていた。

花や夕張メロンのような果物が燃やされている。

生贄も捧げられていた。

教会へと続く壇上には物販スペースもあった。

販売されているのはサンシモン信仰グッズだろうか。

さらに、写真右上に写っている老婆が時折炎に向かって呪文のようなものを唱えていた。

 

サンシモン信者たちの想像以上の“本気度”を感じた私の脳内は興奮状態にあった。

 

そして、私にはもう一つ気になることがあった。

どこからともなく聴こえてくる、この場に不釣り合いな、妙に陽気なメロディーだ。

そのメロディーがこの場の異様さをさらに増長させていた。

 

恐る恐る教会の中に足を踏み入れる。

薄暗い教会の中で目にしたのは祭壇でサンシモンに祈りを捧げる信者たちと、

壁にビッシリと貼り付けられた、無数のプレートたちだった。

スペイン語はほとんど読めないが、“Gracias San Simon(ありがとう、サンシモン)”の文字が随所に見られた。

察するに、サンシモンのおかげで願いが叶った、難病が治った、恋愛成就した…等のお礼のプレートではないだろうか。

そればかりではなく願掛けのプレートもあるようだった。

たくさんの蝋燭が添えられ、祈る人々の姿がそこにあった。

彼らが信仰するのは、ヤハウェでもイエスでもムハンマドでも…ましてや仏陀でもなかった。

ふと教会の片隅に目をやった時、聴こえていたメロディーの正体を突き止めた。

そこには3人の音楽隊の男性が待機しており、一定の時間ごとにメロディーを奏でているのだ。

時間がくると無言で一斉に立ち上がり、所定の位置まで移動して演奏を始める。

演奏が終わると再び彼らは黙って椅子に座り、次の演奏のタイミングを待つ。

その、変に規則正しく動く様子はまるでゼンマイ仕掛けの人形のようだった。

一体彼らは何者なのだろう?

 

私は今まで色々な国の教会、修道院、シナゴーク、モスク、神社や寺などを訪問した経験がある。

しかし…この場所は極めて異様な雰囲気を放っていた。

そして、ついにサンシモンと対面の時がやってきた。

ドキドキしながら階段を登る。

 

紹介が遅くなったが、サンシモンについて少し話をしておきたい。

サンシモンとはスペイン系白人男性の姿をした神様で、

酒と女と煙草が好きという特徴から人々に愛され、信仰された神様だという。

『その特徴だけじゃ、ちょっと崇拝できない…。』そう思われる方も少なくないかもしれない。

しかし、彼は医者と同時にシャーマンであるという肩書きもあり、とにかく凄い方だったらしい。

 

壇上に、彼はいた。

そして、彼の足元には彼の大好物だと言われているお酒がたくさん供えられていた。

ネクタイが、ズレている。

 

正直、この時点で私の頭の中は最高に混乱していた。

 

儀式への誘い

「蝋燭を買わないか?」

サンシモン参拝を終え、教会の外に出ると見知らぬ男が声をかけてきた。

どうやら蝋燭をサンシモンに捧げると願いが叶うようだ。

しのぶさんは『私、ちょっと買ってくるから待ってて!』と男性に付いていった。

 

ひとりになった私はまたその場の雰囲気に混乱し、気が付くと信者たちが集まって座っている椅子に腰掛けていた。

信者たちは私には全く関心を示さず、一生懸命葉巻を吸ったり祈りを捧げている。

当然と言えば当然だが、信者の中には未成年と見られる者も混ざっていた。

 

ふとそこで我に返り、しのぶさんのことが急に心配になった。

いくらしのぶさんがしっかりしているとは言え、そして昼間とは言え、グアテマラで知らない男性に1人でついて行って大丈夫だろうか?

何かあったらどうしよう…。探しに行こうか?

でも行き違いになってしまったら困るし…。

なぜ、私も一緒について行かなかったんだろう…。

 

そんなことを考えながら敷地内をウロウロしていると、笑顔のしのぶさんが戻ってきた。

「のりちゃん、お待たせ!!ロウソク買ってきたよ!!」

しのぶさんの手には赤い蝋燭が2本握られていた。

私は安心した。

「赤い蝋燭は恋愛に効くみたいだよ!他にもお金や健康や仕事とか…9種類あったから全種類買おうかと思ったけど、それだと効果がわからなくなっちゃうから1番効果がわかりやすい恋愛を選んでみたよ!」

こんな時にそこまで考慮して蝋燭を選ぶことができるなんてさすがしのぶさんだ。

 

蝋燭を手にサンシモンの元へ戻ろうとすると今度は見知らぬ女性が声をかけてきた。

彼女はスペイン語を話していた。私は彼女が何を私たちに伝えようとしているのかさっぱり理解できなかった。

しかし、しのぶさんは何かに気づいたようだった。

「リンピア………、Limpia…!?Limpiaはスペイン語でCleanという意味を持ち、きれいにするという意味。そうか、そういうことだったんだ!」

 

解釈はこうだった。

‶儀式を受け、心身を浄化することによりサンシモンへ捧げる願いは叶う”

実はイツァパ村に来る前、私たちはインターネットでこの村に関する情報収集を行っていた。

その情報の中に‶儀式を受けた”との情報があったのだ。

そして今、私たちが置かれている状況はその情報に書かれていた状況に酷似していた。

 

儀式は1人50GTQ(約750円)と提示されたが、

しのぶさんが『私の友人は20GTQで受けたと言っていた』と言うとあっさり20GTQに値下がりした。

インターネットの情報でも20GTQと書いてあったので相場は20GTQのようだ。

その他にも儀式に使用する道具だからという理由で強制的に草花のようなものも購入させられた。

こちらは1束5GTQ(約75円)だった。

そして、私たちは女性の後を追った。

 

教会から出てほんの少し歩いたところに儀式の会場はあった。

建物内にはいくつかの部屋が存在した。案内された部屋に入るとそこには祭壇のようなものが設置されていた。

 

まずは、私が儀式を受けることになった。

彼女は呪文のように何かを唱えながら、先ほど私が購入した草花で私の全身を清めるように振り払った。

そして、お酒か何かの謎の液体をびしゃびしゃと振りかけてくる。

かなりの量を振りかけられ、その冷たさに驚いた。

 

儀式が終わりを迎えると、私はサンシモンに赤い蝋燭を供えた。

儀式は約2、3分で終了した。

 

そして、今度はしのぶさんが私と同じように儀式を受ける。

しのぶさんが儀式を受けるのを見ながら、

‶そういえば、恋愛成就の儀式なのに1秒も恋愛について願わなかったな”と気づいた。

次はこの女性に何をされるのだろう…?私の頭の中は次に自分の身に起こることへの不安だらけで恋愛どころではなかったのだ。

 

儀式を終えると、女性は『これでもう大丈夫だ』と言わんばかりの得意げな表情を見せた。

そして私達は部屋を後にした。

 

建物内にあった謎のサークル。

この部屋にも謎のサークルがあり、サンシモンのポスターのようなものが貼りつけられていた。

他の部屋にはサンシモンらしき神様が祀られていた!

それから私たちは歩いて村の中心部へと戻り、再びチキンバスに乗車してアンティグアへと帰った。

『お互い素敵なハズバンドを見つけた際は、またこの地に来て‶Gracias San Simon(ありがとう、サンシモン)”のプレートを一緒に飾ろう』という約束をし…。

帰りのチキンバスの中でパワーを使い果たした私はウトウト眠りに落ちてしまったようだった。

その時、イヤイヤをするように首を激しく左右に振っていたのでそれを見たしのぶさんは‶呪われた”と心配になったという。

 

また、後日聞いた話ではあるが…

サンペドロ・ラ・ラグーナにある日本人宿のオーナーのヒデキさんの情報によれば、サンシモンの恋愛成就の力はかなり強力だそうだ。

『今まで参拝に行って恋愛成就しなかった人は1人しか知らない。その人は男性だったんだけど女の子たちはみんな結婚してるよ!』

とおっしゃっていた。

 

ヒデキさんからお借りしたグアテマラの歴史や文化が記してある書籍にはこう記されていた。

10月28日のサンシモン祭にはメキシコ、ホンジュラス、エルサルバドル、米国など各地から参拝者が訪れます。子授け、恋愛成就に利益あり。

と。

 

さらに、ヒデキさんは言っていた。

「サンシモンはとんでもない男で手足をちょん切られて殺されたんだ…。」

と。

 

この世の中には色々な神様がいて、その神様を信仰しているいろいろな人達がいる。

 

私としのぶさんが再びサンシモンの元を訪れ、“Gracias San Simon(ありがとう、サンシモン)”のプレートを掲げる日は果たしてやってくるのだろうか。

 

サンシモンの力、お手並み拝見だ。

 

行き方・料金

アンティグアからイツァパ村へ

ローカルバス(チキンバス)
所要時間:約40分~
料金:5GTQ~(約75円~)

【乗車場所】アンティグアバスターミナル

イツァパ村バスターミナルからサンシモン教会へ

トゥクトゥク
所要時間:約5分~
料金:~6GTQ(~約90円)

徒歩
所要時間:約25分~

【Templo De San Simón (Maximón)】

サンシモンの儀式

儀式代:20GTQ(約300円)
草花代:5GTQ(約75円)
蝋燭代:1GTQ/1本(約15円)

 

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