今回はウクライナのカルパチア山脈に位置する小さな街、ヤレムチェについてご紹介させていただきます。
雄大な山々に囲まれたこの街は、ウクライナ人の間で山岳リゾート地として人気があるそうです。
日本人の間では知名度は高くないかもしれませんが、美しい自然に囲まれて心身ともにリラックスできるお勧めの街です。

ヤレムチェとは
ヤレムチェとは、ウクライナ南西部のカルパチア山脈に位置する山岳リゾート地として有名な街です。
そこには今も伝統を大切にして暮らす山岳民族であるフツル族が住み、雄大な山々や川など美しい自然に溢れています。
リヴィウからヤレムチェへ移動
イスタンブール、キエフ、リブネを挟んでリヴィウと滞在していた私は、いわゆる都会の喧騒に疲れてしまい自然豊かでリラックスできる場所を求めていました。
そんな時、リヴィウの同じ宿に宿泊していた観光客から『自然が豊かなヤレムチェという街がある』との情報を入手し、現地へ向かうことを決意しました。
リヴィウからヤレムチェへは列車かバスを利用して移動することができます。
金額の面でも時間帯の面でも列車の方が都合がよかったので私は列車を利用しました。
前日にインターネットで手配した列車のチケットを手に、リヴィウ鉄道駅へ向かいます。
リヴィウ市街からリヴィウ鉄道駅まではバスやトラムを利用して簡単に移動することができます。
それにしてもリヴィウ鉄道駅はヨーロッパの雰囲気漂う美しい駅ですね!
待合室も完備され、売店などもあります。
列車の出発時間が近づいてきたのでホームへ向かいました。
自分が乗車する列車を間違えないように電光掲示板でしっかり乗り場を確認しておきます。
ホームにいた係員の方にチケットを見せ、列車に乗り込みました。
この時、見せたチケットは係員に回収されましたが降車のタイミングが近づいてくると車掌さんがチケットを持って知らせに来てくれるシステムになっていました。
私が予約した列車は一番グレードの低い3等車です。
夜行列車でもないし数時間の移動だからと3等車を予約したところ、冷房もついていない、インドの長距離列車を彷彿させる佇まいの車両が私を出迎えてくれました。
これはこれで味があるな…と愉快な気持ちになります。
列車は予定通り16:05にリヴィウを出発しました。
さっそくテーブルにおやつを広げて楽しい列車の旅の始まりです。
窓の外に広がる景色はとてものどかで見ていて飽きませんでした。
列車は順調に走り続け、ヤレムチェ駅に近づいてきたときに車掌さんが「もうすぐあなたが下りる駅に到着です」と私にチケットを手渡してくれました。
そして20:40、予定通りヤレムチェ駅に到着です。
ヤレムチェ観光
ヤレムチェは決して大きな街ではありませんが、都会にはない魅力的な観光スポットがいくつも存在します。
私が実際に足を運んだ観光スポットをいくつかご紹介させていただきます!
マコヴィツャ山トレッキング
ヤレムチェに来たら外せないのがマコヴィツャ山のトレッキングです。
登山口も街の中に位置していますし、標高978mの山なので気軽に日帰りトレッキングをすることが可能です。
頂上にはウクライナカラーの十字架が建てられており、美しい山々やヤレムチェの街を一望することができます。
また、食事やお茶をしたり軽食を購入することができるお店もあるので山頂で美しい景色を見ながらゆっくりと過ごすのもよいかもしれません。
フツル族が大切にする神聖な岩々など他にも見どころがあります。
美しい自然の中で景色を楽しみながら身体を動かしてリフレッシュできるので、とてもお勧めのアクティビティです。
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アクセス
プロビの滝
こちらはヤレムチェの街の南に位置するプロビの滝です。
滝と言っても高低差はほとんどありません。
しかし、そこから見える景色はとても美しいです。
多くの人たちが滝の近くで涼を取っているようでした。
滝を見ながら食事やお茶を楽しむことができるカフェやレストランもあるのでお昼時に遊びに行くのもいいですね!
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アクセス
スーベニアマーケット
また、プロビの滝周辺にはスーベニアマーケットがあり、食料品はもちろん、伝統的で可愛らしい洋服や民芸品を購入することができます。
規模もそこそこあるので散策しているだけでも楽しむことができます。
こちらはフツル族の伝統的な建築様式の建物です。
とても特徴的で木造建築が美しいですね。
プロビの滝を訪れる際はぜひマーケットも散策してみてください!
アクセス
Monastyr Sv. Proroka Illi
ヤレムチェ中心街から少し離れた北部に位置する木造建築のこちらの教会。
一目見た瞬間、あまりの美しさに鳥肌が立ちました。
フツル族の伝統的な建築様式且つすべて木で造られているそうです。
敷地内にはベンチもあり座ってゆっくりと教会の雰囲気を楽しむことができます。
ただし、神聖なお祈りの場所でもあるので邪魔にならないようにくれぐれもマナーは守りたいところです。
内部は木のよい香りが漂っており、心が静まり神聖な気持ちにさせてくれます。
街から少し離れた場所にありますが、歩いていけない距離ではないですし足を運ぶ価値がある教会です。
ちなみに街から教会へ行く途中の道にはこんな露店が出ていました。
瓶に様々な種類の野菜やキノコが詰まっています。
ウクライナではよく見かける瓶詰めでどんな味がするのか気になりますが、購入する勇気はありません。
アクセス
Tserkva Arkhystratyha Mykhayila
木造建築の教会 Monastyr Sv. Proroka Illi からさらに北へ進んだ小高い丘に建っているのがこちらの Tserkva Arkhystratyha Mykhayila という教会です。
木と金属で造られていて、この地方でよく見られる独特な姿をしています。
扉には鍵がかかっており内部へ入ることはできませんでした。
ここは教会というか、墓地のようです。
たくさんの魂が安らかに眠っている場所ですね。
観光する場所ではないので祈りを捧げて立ち去ることにしました。
教会が建つ小さな丘から見える景色はのどかでとても美しかったです。
アクセス
Khram Rizdva Sviatoho Ivana Khrestytelia
ヤレムチェ中心街にそびえたつ美しい教会です。
存在感も抜群でヤレムチェを訪問したら必ず目にするかと思います。
ある日思い切って足を踏み入れてみて驚きました。
ひんやりとした空気が漂う内部は壮麗で想像以上に美しかったです。
祭壇に置かれた美しい十字架に目を奪われます。
誰もいない教会内部はとても神聖な雰囲気が漂い、しばらくその場に立ち尽くしてしまいました。
ヤレムチェを訪れたら、外見を見るだけだなくぜひ内部にも足を踏み入れてみてください。
アクセス
ヤレムチェ市街の様子
ヤレムチェ鉄道駅前
美しい山々に囲まれたヤレムチェの街は決して都会のような刺激はありませんが、のどかで落ち着いていてゆっくりと滞在したい方にはピッタリです。
こちらはヤレムチェ鉄道駅前の様子。
何かのイベントなのか、ある日前を通りかかったところたくさんの人たちが集まってフォークダンスのようなダンスを踊っていました。
平和です。
鉄道駅前付近にはこのような遊歩道が設置されていてお散歩を楽しむこともできます。
私のお買い物散歩コースです。
アイスクリーム屋さんや噴水、小さな遊園地もあります。
ローカルマーケット
こちらは私がよくお買い物に利用したローカルマーケットです。
ここへ来れば日常生活で必要なものはほとんど手に入れることができます。
商店街のように様々なお店が集合しています。
いろんな種類のチーズが販売されているのをよく見かけました。
赤や緑、茶色のチーズなどもあり、どんな味なのか気になりましたが勇気がなくて試すことができませんでした。
チーズはこのようにパンの上に乗せて温めて食べるととろけてとても美味しいです!
新鮮な野菜も安い値段で購入することができます。
もちろん、近代的なスーパーマーケットもあり、よく利用しました。
ウクライナのスーパーマーケットのすごいところは日本食の材料が豊富に販売されているところです。
ヤレムチェのスーパーマーケットも例外ではありません。
これを見つけたときはちょっと感動しました。
少し離れた場所に衣類やお土産を中心に取り扱うマーケットもあります。
まだ夏だというのに毛皮類が販売されており、真冬の寒さの厳しさを容易に想像させられました。
モニュメント
さらにヤレムチェの街にもこのように旧ソ連地域で見られる厳ついモニュメントが所々に設置されています。
一体何を表しているのだろうと気になりますが、詳細は不明です。
ちょっとお洒落な像も設置されており、なんだかほっこりした気分になります。
ヤレムチェ山の中の様子
ヤレムチェの街から山の中へ足を踏み入れると、そこには美しく豊かな自然が広がっています。
山の中にはいくつも宿泊施設があり、滞在に利用していました。
美しい自然に囲まれた環境で美味しい空気を吸って、小鳥たちのさえずりや小川の流れる音を聞きながら生活していると心身ともに癒されます。
さらに仕事もはかどります。
小川の水が流れる音にはヒーリング効果があるようですね。
鶏たちの姿もよく見かけました。
彼らの鳴き声は私の目覚ましです。
可愛らしいヤギたちです。
森林浴や散歩から私の一日は始まります。
美しい花たちはいつだって私を幸せな気持ちにしてくれました。
緑が溢れ、とてものどかです。
ジブリに出てきそうな、歴史が感じられる私の好みの家です。
このような景色を見ていると、まるで夏休みに田舎のおばあちゃんの家に遊びに来たかのような気分になります。
どこまでも続く線路。
いつか、この街を出るときが来るのかと連想させられ線路を眺める度に切ない気持ちが駆り立てられました。
素敵な洋館を発見。
人は住んでいないようです。
散歩をする度に新しい発見があるのがヤレムチェです。
ヤレムチェのお勧め宿
Під лісом у гіда
ヤレムチェ滞在中に私が利用したお勧めの宿を2つご紹介させていただきます。
まず一つ目は Під лісом у гіда というゲストハウスです。
こちらの写真は私が宿泊していたマウンテンビューのツインルームです。
木のぬくもりが感じられる素敵なお部屋です。
現在私の職場はヤレムチェの山小屋です。電源、Wi-Fiあり。BGMは近くの小川のせせらぎと小鳥たちのさえずり。
木の温もりが感じられる部屋、キッチン有り、ブランコ付きのお庭、温かい従業員。1泊800円で最高に贅沢な時間を過ごしています☺️#海外ノマド#フリーランス#海外旅行#ウクライナ pic.twitter.com/G4FXIWK2ow— Noriko海外ノマド@ウクライナ🇺🇦 (@Present_noriko) June 21, 2021
ちなみにシャワーやトイレは共同利用でした。
参考までに、こちらがダブルルームです。
部屋の窓から見えるこの美しい景色がとても気に入っていました。
キッチンも完備されていて料理をすることもできます。
オーナーご家族はとても親切で言葉が通じないものの、いつも笑顔でコミュニケーションを取ってくれました。
洗濯物を干す場所もあり、不自由なく滞在することができます。
予約サイトを通さずに直接支払うと1泊200フリヴニャ(約800円)で宿泊をすることができ、非常にリーズナブルでお勧めです。
強いてマイナス点を言うとすれば雨が降ると場所によってWi-Fi接続が不安定になることがあったり、シャワーの水圧があまり強くないことです。
ゲストハウスの周りはこのように自然に囲まれており、とてもリラックスできる環境です。
raduga karpat
続いて、ヤレムチェ滞在中に私が長い時間を過ごしたのがこちらの raduga karpat というゲストハウスです。
清潔感がある広々としたダブルルームに滞在していました。
Wi-Fiのスピードも速く、デスクもあるので仕事に集中することができてよかったです。
使い勝手のよい、機能的なキッチンも完備されておりよく料理をしました。
広いお庭は綺麗に整備されていて、ブランコに乗って山を眺めながら休憩することもできます。
お庭にもWi-Fiが飛んでいるので、設置されたテーブルで山を見ながら仕事をしたり食事をとることも多々ありました。
オーナー夫妻はとても親切で、畑で採れたフルーツをくれたり食事を用意してくれることもありました。
また、他の宿泊客も親切な方が多く、バーベキューに招待していただいたりもしました。
この日はハリコフからやってきたウクライナ人のご夫婦がバーベキューで食事を用意してくださったので、オーナー夫妻も交えて食卓を囲みました。
英語を話す方はおらず、私もウクライナ語もロシア語もわからないので直接会話をすることはできませんでしたが翻訳機を使用しながら楽しく談笑しました。
シャシリクがとても美味しくて驚きました。
食が進み過ぎて、おそらく私が誰よりも一番たくさん食べていたと思います。
こちらのゲストハウスは予約サイトを通して予約をした場合はダブルルームが1泊1,600円ほどでしたが、予約サイトを通さずに直接支払うと250フリヴニャ(約1,000円)になります。
シャワーの水圧も完璧で最高のゲストハウスだと思います。
再びヤレムチェを訪問することがあればぜひ宿泊したいゲストハウスです。
ヤレムチェのお勧めレストラン
Cafe "Kolomyika"
ヤレムチェ滞在中に何度か足を運んだお勧めのレストランがこちらの Cafe "Kolomyika" です。
中心街に位置しているのでアクセスの面でも便利です。
こちらはウクライナの伝統料理ボルシチ。
野菜たっぷりのスープはヘルシーでとても美味しかったです。
こちらは Cafe "Kolomyika" の自家製料理だそうです。
名前が難しくて覚えられませんでしたが、すり潰したジャガイモを丸めた弾力のある生地の中に鶏肉を入れて煮込んだ料理です。
とても美味しかったです。
Cafe "Kolomyika" の料理は美味しいだけではなく、お値段もとてもお手頃です。
1回の食事で支払う金額はいつも80~120フリヴニャ(約320円~480円)程度でした。
英語のメニューもあるので店員さんに頼むと持ってきてもらえます。
気軽に利用できるお勧めのレストランです。
アクセス
Kafe Shynok
こちらはヤレムチェで私が最も気に入った Kafe Shynok というレストランです。
食事が美味しいのはもちろんですが…
なんと言ってもテラス席から見えるこの景色が最高です。
のどかな風景と小鳥たちのさえずり、近くを流れる川の音を聞いて食べる食事は至福の時をもたらしてくれます。
デザートのチーズケーキもとても美味しかったです。
お料理とデザート、コーヒーを飲んでこの景色を楽しんでもお会計はたったの224フリヴニャ(約896円)というから驚きです。
室内も広々としていて、インテリアもお洒落です。
こちらのレストランは中心街から少し離れた場所に位置していますが、Monastyr Sv. Proroka Illi(木造教会)の近くにあるので観光ついでにぜひ立ち寄ってみてください。
ポイント
英語のメニューが用意されていないので写真翻訳機を使用して解読することをお勧めします。
アクセス
フィッシングキャンプ
こちらはフィッシングキャンプという釣り堀レストランです。
生け簀の中にいる魚を釣ってその場で調理してもらって食べることができます。
同じゲストハウスに宿泊していたウクライナ人ご夫婦に教えていただき、一緒に訪問しました。
調理方法は色々あるようでしたが、私はバターガーリック味で焼いていただきました。
採れたての新鮮な魚は身がしっとりしていてとても美味しかったです。
ちなみに釣った魚はその場で調理してもらう他、持ち帰ることも可能です。
大きな魚、ポテト、キュウリとトマトのサラダ、フルーツを煮込んだジュースをいただき325フリヴニャ(約1,300円)でした。
お値段は魚の重さによって変動するようです。
美しい自然の中で釣りも食事も楽しめるお勧めのレストランです。
アクセス
いかがでしょうか。
美しい大自然に囲まれた田舎でありながらも生活面では決して不自由しないヤレムチェは、ゆっくりとした時間を過ごしたい方にピッタリの素敵な街です。
観光スポットもあり、フツル族の伝統的な文化を感じることができるのも魅力のひとつです。
1か月間この場所で過ごした私は旅立つときはさみしい気持ちでいっぱいになりました。

行き方・料金
リヴィウからヤレムチェへ
【乗車場所】リヴィウ鉄道駅
【降車場所】ヤレムチェ鉄道駅
所要時間:片道約4時間20分~
時刻表:出発16:55-到着21:15
料金:片道270UAH~(約1,080円~)